海馬の尻尾に小栴檀

晴れた日には
うんと遠くへ行こう
貝殻の上
蹄鉄高らかに

晴れた日には
うんと遠くへ行こう
悲しみの種
海岸に振り撒いて

帰らぬ人
あの人みたいに
美しく清らかに
思い出の窓を開いて

忘れようなにもかも
大切にするために
ここに埋めよう
掌で咲く花はない
忘れよう

病める日には
ぬるい風を浴びよう
灰の舞う空
太陽が瞬いて

帰らぬ人
あの人みたいに
弱いままでいたいのに
人は皆 思い出の虫

貝殻の上を歩いて
それはかつて生きた
誰かの夢

忘れようなにもかも
愛し続けるために
ここに埋めよう
掌で咲く花はない
忘れよう
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